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新規就農とは?必要なものと新規就農を支える支援策を解説します

新規就農を支える支援策

就農コラム

少子高齢化が進む日本で喫緊の問題となっているものに、「農業に従事する人口が減少し続けていること」が挙げられます。この問題を解決するため、国や自治体がさまざまな支援策を講じており、農林水産省の発表によると、令和3年に新規就農した人は5万2,290人。

「自分で作った野菜や果物だから安心して食べられる」等の思いから、農業に興味があるものの、農業ってどうしたら始められるのかわからない、という人も少なくありません。そこで本記事では、新規就農の働き方や必要なもの、国や自治体の支援策について、分かりやすく解説していきます。

新規就農とは

新規就農とは、所有している土地を活用したり、新たに土地を取得または借りて農業を新しく始めること。冒頭で述べた通り、日本では少子高齢化によって農業従事者が減少し続けています。それに伴って、耕作放棄されている農地が増え、若手農家の登場が求められています。

新規参入した若手農家の中には、ブランド化や6次産業化によって売り上げを伸ばし、活躍している人も少なくありません。新規就農は、やりがいがあり、やり方次第でしっかりと稼ぐことができる可能性があるのです。

働き方は3タイプ

新規就農の働き方は、人によって違いがあります。農林水産省によると、新規就農者とは

新規参入者

新規雇用就農者

新規自営農業就農者

の3タイプ。それぞれの働き方について、詳しく見ていきましょう。

新規参入者

『新規参入者』とは、資金と土地を調達して、新たに農業経営を始めた責任者、または共同経営者のこと。農林水産省の発表によると、令和3年の『新規参入者』は3,830人。そのうち、49歳以下は2,690人で、令和2年に比べて増加傾向にあります。

何を栽培するか、というところから1日のスケジュールをどうするか、自分で決めることができる働き方なので、目標がある人に向いている働き方といえます。

新規雇用就農者

『新規雇用就農者』とは、農業生産を行っている企業に従業員として雇われて給料をもらいながら働く人のこと。自分で土地や資金を準備する必要がなく、毎月、決まった収入を得ることができるのが『新規雇用就農者』の魅力の1つです。

農業の技術を身につけながら働くことができるので、これまで農業に携わったことがない人も安心して就農することができます。農林水産省の発表によると、令和3年の『新規雇用就農者』は1万1,570人。そのうち、49歳以下は8,540人でそれぞれ令和2年に比べて増加しています。

新規自営農業就農者

『新規自営農業就農者』とは、親や親族が行っている農業を引き継ぐ形で就農する人のこと。新規参入者と異なり、農地や機械・設備などを準備する必要がなく、親や親族の元で技術を学びながら経営者を目指す、というスタイルです。

令和3年の『新規自営農業就農者』は、3万6,890人。そのうち、49歳以下は7,190人で、令和2年に比べて減少傾向でした。

新規就農に必要なもの

新規就農に必要なものに

・資金

・土地

・機械/施設

・技術/ノウハウ

があります。一つずつ、見ていきましょう。

 資金

独立する場合に重要な要素の1つに『資金』があります。全国新規就農相談センターの調査によると、就農1年目に要した営農面の費用の平均は755万円。そのうち、種苗や肥料、燃料等の必要経費が194万円、機械や施設の費用が561万円であり、これに対する自己資金は281万円となっています。

また、就農1年目での農産物の売上高は343万円。生活面での自己資金が170万円なので、必要な費用が自己資金を大きく上回っていて、借り入れを必要としているのが現状であるといえます。

ちなみに「みかん」は栽培に必要な設備への初期投資が少ないと言われている。最低限必要な機械は「軽トラ」と「動力噴霧器(主に消毒作業に使う機械)」の2つ。他の農作物と違って、農業のはじめの一歩を踏み出す人にとっては、大きなメリットだ。

 土地

農業を始める際に、『土地』も欠かせない要素の1つですが、農地を借りたり、購入したりする場合には、農地法で定められた要件を満たし、「農業委員会」の許可を得ることが必要となります。農地法とは、農地の売買や転用を制限する目的で1852年に制定されたもの。

2009年の法改正に伴い、農地の賃貸借についての制限が大幅に緩和されたことで、農業生産法人やNPO、一般の法人が農地を借りることができるようになりましたが、農地を耕作目的で購入または借りる場合には、農業委員会の許可が不可欠です。

農業委員会が農地の売買・借り入れを許可するかどうかは

経営面積

・農地の買い手・借り手が効果的に利用するかどうか

・買い手/借り手の経営状態

を基に判断されます。どの農地を借りたり購入したりすることができるのかは、全国新規就農相談センターや就農を考えている地域のJA・市町村の窓口、または、農地バンク等に相談するといいでしょう。

 機械・施設

農業を行うにあたって必要なものに、各種機械や農業用の資材、道具や肥料などがあります。この機械や資材、道具や肥料は栽培する作物によって異なりますが、農業用の機械を全て購入するためには多額の費用が必要となります。

新規就農の場合、土地や住まいも準備する必要があるうえ、経験を積み重ねるまで思うような収穫量が望めなかったり、病害虫の被害を受けたりするなど、経営が不安定になりがち。したがって、就農する際に揃える機械や施設は、レンタルや中古のものを利用するなど、費用を安く抑える工夫をすることもおすすめです。

また、これらの農業機械は購入したら終わりではありません。メンテナンス等にも費用が掛かるので、自分でメンテナンスが出来るように整備技術を身につけると費用を抑えることにつながります。

 技術・ノウハウ

地域の風土に合わせて作物を育て収穫するためには、マニュアルには載っていない技術とノウハウを身につけることが欠かせません。この技術とノウハウを身につけるための研修先として、農業大学校や農協、一般農家や農業生産法人などがありますが、おすすめなのが、一般農家や農業生産法人で研修を受けること。

その地域に合った実践的な技術を学ぶことができるのはもちろん、その地域ならではの経営ノウハウを習得することができます。独立する前に一定の期間、雇用される形で就農し、技術やノウハウを学んでから独立する、というのも1つの方法として検討するといいでしょう。

新規就農者に対する支援策

前述したように、新規就農には様々なものが必要です。これらを全て自分で準備するのは難しいため、国や地方自治体がさまざまな支援策を講じて「農業を始めたい」人の後押しをしています。

いったいどのような支援策があるのか、見ていきましょう。

 国の支援策

新規就農者に対する国の支援策として

・就農準備資金/経営開始資金

・認定新規就農者制度

・経営発展支援事業

・青年等就農資金

などがあります。

就農準備資金・経営開始資金

『就農準備資金』とは、就農前の研修を後押しする資金として月12.5万円、年間150万円を最長2年間交付するもの。

これは、就農予定時の年齢が原則として49歳以下で、次世代を担う農業者となることに強い意欲を有していること、親元就農を目指す場合は就農後5年以内に継承すること、都道府県が認める研修期間等で1年以上(1,200時間/年以上)の研修をすることが対象となります。また、『経営開始資金』とは、就農開始から経営が安定するまで月12.5万円、年間150万円を最大3年間交付するというもの。

こちらも、就農時の年齢が原則49歳以下で、次世代を担う農業者になることに強い意欲があること、青年等就農計画等の基準に適合していること、市町村が作成する人・農地プランに中心となる経営体として位置づけられている、もしくは、位置づけられることが確実なこと、などが条件となっています。

認定新規就農者制度

『認定新規就農者制度』は、市町村が新規就農者が作成する青年等就農計画を認定し、その計画に基づいて農業を営む新規就農者を重点的に支援する制度のこと。

この制度は、農業経営を始めて5年以内の人で、18歳から45歳未満の青年または65歳未満の特定の知識・技能を有する中高年齢者、これらの人が役員の過半数を占める法人が対象となります。

認定新規就農者に関する施策には、経営開始資金や農地利用効率化等支援交付金、新規就農者に対する無利子資金制度や経営所得安定対策等があります。

経営発展支援事業

『経営発展支援事業』は、就農後の経営発展を目的に都道府県が機械・施設等の導入を支援する際、機械・施設等の導入にかかる経費の1,000万円を上限に(経営開始資金の交付対象者の場合は500万円を上限)その2倍の金額を国が支援するというもの。

就農時の年齢が原則49歳以下で、次世代を担う農業者になる強い意欲があること、雇用就農資金による助成金または経営継承・発展支援事業による助成金の交付を受けていないことなどが条件です。

青年等就農資金

『青年等就農資金』とは、新規で農業経営を始める青年または知識・技能を有する65歳未満の人、これらのものが役員の過半数を占める法人で、市町村から青年等就農計画の認定を受けた者に対して、農業経営に必要な資金を長期・無利子で貸し付ける制度のこと。

借入限度額は3,700万円(特任限度額は1億円)で、農地・牧野の改良や造成、農地・採草放牧地の賃借、果樹の植栽・育成、家畜の購入・育成などに使用することができます。

17年以内に償還すればよく、5年以内は据え置き期間となっているので、新規就農者にとって大きなメリットがある制度であるといえます。

 三重県御浜町独自の就農支援

熊野灘に面し、年間平均気温が17.6℃と温暖な気候に恵まれている三重県御浜町は、みかんをはじめとする柑橘栽培が盛んで、上記のほかに2つの独自支援で新規就農者の支援を行っています。

1つ目の「新規就農者基盤強化事業補助金」は、技術の習得や所得の確保を目的に、農業資材や機械を支援するというもの。
サポートリーダーと呼ばれる指導者の元で1年間研修を受け、50歳以上54歳以下で就農する人を対象としています。経費の2分の1(100万円が上限)以内の交付金を最長2年間受けることができます。

2つ目が、より美味しいみかんを作るために欠かせないマルチシートや苗木、客土や防寒資材(サンテ)の補助を受けられる「資材補助」という支援策です。就農中いつでも利用することができるので、就農にかかる費用を都度抑えることができる支援策が整っています。

また、町をあげて柑橘産業における新規就農者を増やしていく取り組みを行なっており、支援制度はもちろん、現場での研修に加えて座学での研修を開始するなど、新規就農希望者へのサポート体制を強化しています。また町の農林水産課の担当者たちも熱意を持って就農希望者の方の相談を受けています。

「些細なことでも相談してほしい」と語る御浜町役場・農林水産課のスタッフ

まとめ

新規就農は、やりがいがあり、やり方を理解すれば収益性の高い可能性があると言われています。
自治体によって支援策やサポート体制も異なるため、興味のある農産物・地域などで、まずは情報収集や問い合わせをしてみてはいかがでしょうか。きっと、実現したい農業やライフスタイルに合うところが見つかると思います。

(掲載情報:2023年5月31日時点)

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