「年中みかんのとれるまち」と親しまれる三重県御浜町。この町では、みかんが季節の始まりを教えてくれる。 産声を上げた新芽が、わたしたちに春の訪れを告げる。大粒の雨でぐんぐん育つみかんが、わたしたちに夏の兆しを知らせる。軽トラ一杯に積まれたみかんの香りが、町を駆け、わたしたちに秋の再来を伝える。暖かい色に衣替えしたみかんは、わたしたちに冬支度を薦める。わたしたちは、まるで我が子の成長を見守るかのように、育っていくみかんに、季節を重ねて暮らしています。
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みかん栽培に適した水はけのよい土壌と温暖多雨な気候で、一年中、様々な種類のみかんを収穫、食べることができます。町をあげてみかん栽培に取り組んできた歴史と、農家が年月をかけて作り上げてきた産地としての誇りが、本州で一番早い時期に出荷される、御浜の超極早生温州みかん「味一号」を産み出しました。その青く未熟に見える姿とは裏腹に、甘味と酸味の絶妙なバランスを持つ、熊野の気候と大地の出会いが生んだ三重南紀、御浜のみかんの代名詞です。
御浜町は熊野の自然信仰に関係が深い町です。万物に魂が宿ると考える熊野の人々は、自然に畏敬の念を抱き、木や石などにも魂が宿ると考え、自然に尋ね、自然に頼り、自然と向き合ってきました。御浜のみかんは、そんな人々の思いと手によって育てられます。手をかけた分だけ、熊野の自然が応えてくれる。そんな熊野の太陽の味を味わってみてください。
西岡宏展・長閑さん
愛知県からIターン/40•50代/新規就農研修/2人家族
三重県御浜町
新規就農希望者が増えているワケとは
仲井 照清さん
大阪府からIターン/50代/みかん農家/単身
御浜町を、何気なく車で走っていると、みかんのある日常に出会う。 ふと通り過ぎた家の庭に、みかんの木々が植えられている。 信号待ちで窓の外を見ると、無人市に採れたてのみかんが並んでいる。 箱一杯のみかんと、夫婦の幸せな笑顔を満載した軽トラックが、海沿いの道を駆け、みかんの香りを町へとふりまく。 耳を澄ませばチョキ、チョキと、ハサミの音がどこからともなく聞こえる。 そんな御浜町の日常に触れ、気づいたことがある。 みかん農家はみかんをつくっているだけじゃない。この町の、この風景をつくっているんだ。
Point 1
おいしいみかん作りには、年間の平均気温が15℃以上あるとよいと言われています。本州のほぼ最南端に位置し、近くに黒潮が通る御浜町は年間の平均気温が17℃で、みかん作りにふさわしい気候です。
Point 2
みかんの生育に不可欠な日光。御浜町は年間の日照時間が2,950時間もあり、みかんの木は十分な日光を浴びて育つことができます。
Point 3
甘いみかんを作るには、水を与えすぎないことが重要です。御浜町は降水量は多いものの、土地が礫質のため水はけがよく、木に程よい乾燥ストレスを与えられ、おいしいみかんを作ることができます。
Point 4
主要な産地では、水はけを良くするために、山の斜面や段々畑でみかんが作られています。御浜町では平らな土地や緩やかな斜面で作業負担が少なくみかん作りをすることができます。
葉に光があたらないと、みかんに十分な栄養を送ることができません。それぞれの葉に日光がまんべんなく当たるように余分な枝を除去します。
みかんが多くなりすぎると、一つ一つの味が落ちてしまうため、余分な実や傷ついた実を落としてみかんのなる量を調整します。
夏場から収穫期のみかんの木が吸収する水分量を調整し、甘いみかんをつくるためマルチシートを被せます。
異なる品種のみかんを作ることで労力を分散することができ、繁忙期以外は、基本的に1人でも作業が可能です。 この他のモデルは下記の就農支援情報をご確認ください。
就農するまでや、就農後も町役場や農協・ 農家などが継続してしっかりサポートします。