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就農にかかる初期投資はどれくらい?~利用できる補助金をご紹介~

御浜町独自の制度もご紹介

就農コラム

何か新しいことを始める時には、多かれ少なかれ、なにかしらの費用がかかるものですが、農業を始める際にもやはり初期投資はかかるもの。では、農業を始めるにあたって、いったいどれくらいのお金が必要なのでしょうか?

本記事では、農業の初期投資はどれくらいなのか、作物別の目安を合わせて詳しくご紹介します。利用できる補助金についてもご紹介するので、ぜひ参考にしてください。

農業を始める際に必要な初期投資の額は?

農業を始めるためには、農地や農業機械・設備、肥料や種子など、さまざまなものが必要です。また、農業を始めてすぐは収入がないため、生活費を賄うためにも費用が掛かります。

一般社団法人全国農業会議所全国新規就農相談センターが令和4年に実施した調査によると、就農1年目に要した営農の費用の平均は755万円。内訳は、

・機械や施設にかかった費用は561万円

・種苗や肥料などにかかった費用は194万円

また、生活面の自己資金の平均が170万円。つまり、約900万円が初期投資として必要になる、といえるでしょう。

農作物別、初期投資費用 

農業を始めるために必要な初期投資費用の平均がどれくらいなのか、簡単に紹介しましたが、この初期投資費用は作る作物の種類によって変わります。前述した一般社団法人全国農業会議所全国新規就農相談センターの調査によると、作物別の目安は下記の通りです。

・水稲 489万円
・露地野菜 431万円
・施設野菜 1,136万円
・花き・花木 781万円
・果樹 419万円

その内訳をみてみると、水稲はトラクターや田植え機、コンバインなどが必要となりますし、露地野菜もトラクターや草刈り機、軽トラックなどは揃えたいところ。また、施設野菜はビニールハウスの設置や冷暖房などが必要ですし、果樹も運搬車や軽トラック等が欠かせません。

機械や施設は値段もピンキリなので、どれだけ費用がかかるかは利用する機械・施設で変動しますが、就農してすぐは思ったような収穫が得られないこともあるため、なるべく抑えたい支出の部分です。これらの「作物の種類」による違いだけでなく、野菜や花・果樹の種類によっても初期投資は変わります。

例えば、野菜の中でトマトを作りたい、という場合。

露地栽培の場合の初期投資として準備したいのは150万円〜300万円程度ですが、施設栽培をする場合はビニールハウスを建てるために500万〜1,000万円必要です。

一般社団法人全国農業会議所全国新規就農相談センターの調査結果にある「露地野菜が431万円、施設野菜が1,136万円」という目安よりも低い数字になっていますが、これは、購入する土地の広さや機械の違いによるもの。

露地栽培でも欠かせないトラクターなどをレンタルや中古で準備することで初期投資を抑えることができます。また、果樹の中でもイチゴとみかんとで比べてみると、イチゴ農家になるために必要なものには、ビニールハウスとトラクター、うね立て機などがあります。

かかる費用は、地面でイチゴを育てる土耕栽培なのか、1メートルほどの高さのベンチに植える高設栽培なのかで異なり、土耕栽培なら10aほどのビニールハウスで500万円程度、高設栽培なら1,500万円程度が掛かります。

一方、みかん農家になるために最低限必要なものは、農地以外に「軽トラック」「動力噴霧器」の2つだけです。

液体肥料や薬剤を散布するのに使用する動力噴霧器とタンク

トラクター、うね立て機などが要らなく、栽培する品種によってはビニールハウスも不要なので、初期投資を抑えることができます。農業を始めたいという人にとって「初期投資が少なく済む」というのは、みかん農業の大きなメリットといえます。

軽トラや動噴は中古で安く手に入れたという話もあるそうで(ときには無料で!なんて人もいるとか)、地域の先輩農家さんと関係を築き、入手経路の幅を増やすことも、初期投資を抑えるポイントです。

助成金の活用も

農業を始めるためにかかる費用を全て自分で準備するとなるとハードルが高く、始めるのが難しいと感じる人もいると思いますが、新しく農業を始める人をサポートする助成金制度が各種設けられています。

新規就農を考える人たちが受けることのできる補助金は大きく分けて3種類。

・就農準備資金
・経営開始資金
・経営発展支援

「就農準備資金」は、就農のために研修を受ける研修生を対象に、月額12万5千円、年間最大150万円を最長で2年間支援する、というもの。就農予定時に49歳以下であることが原則で、都道府県等が認定する研修機関で1年以上研修すること、などが条件となります。

「経営開始資金」は、前年の世帯所得が600万円未満の認定新規就農者を対象とするもので、農業を始めてから経営が安定するまで、月額12万5千円、年間150万円を最長で3年間助成してもらうことができる、というもの。こちらも就農予定時に49歳以下であることが原則とされています。

「経営発展支援」とは、就農後3年以内の認定新規就農者が、発展のための融資を無利子で受けることができる、というもの。補助対象の事業費は1,000万円を上限とし、日本政策金融公庫が2分の1を、地方自治体が4分の1を、毎年肩代わりしてくれます。

初期投資はかかるけれど、自己資金では足りない場合、これらの助成金をうまく活用するといいでしょう。就農する地域によっては、上記の3種類の補助金以外に独自の助成制度を設けているところもあります。

例えば、果樹、柑橘での就農を考える人にとって魅力的なのが、三重県御浜町の助成制度です。

御浜町では、上記の3つの助成金のほかに

・新規就農者基盤強化事業補助金
・資材補助

という支援制度を利用することができます。

新規就農者基盤強化事業補助金は、所得の確保や技術の習得のために、機械や農業資材についての支援を受けることができるというもの。この補助金は、御浜町に住んでいる人を対象とするもので、サポートリーダーについて1年間研修を受けて、50〜54歳で就農する人、かつ、農業次世代人材投資資金の交付を受けたことがない人が受けることができます。

補助金の交付額は経費の2分の1以内で、上限は100万円。最長2年間受けることができます。資材補助は、マルチシートの購入や優良品種の苗木・穂木の購入、サンテ(防寒資材)や客土の購入に支援を受けることができるというもの。

土に水が染み込むのを防ぐことで、みかんを甘くコントロールするのに大事なマルチシート

就農中ならいつでも利用することができるので、品質のいいみかんを作るためにぜひ活用したい補助制度です。

また、三重県御浜町では農地バンクならぬ「農機具バンク」も開始。先輩農家が軽トラや不要になった農機具を引き継ぐ仕組み作りが始まっています。

何を作りたいのか、どこで作るのかで初期投資は変化

農業を始めるには、土地や機械、肥料や苗木などが必要です。また、就農後には営農資金をはじめ、生活費などもかかります。

準備するものの種類や量によって初期投資は変動しますが、これらを自己資金で賄うことができる人は多くありません。自己資金では初期投資を賄えない、という方の心強い味方が補助金ですが、作るものや、作る場所によって利用できる補助金も変わってきます。

農業にチャレンジしたけれど資金面で続けることができなかった、とならないよう、自身の蓄えとも相談し、また利用できる補助金をうまく活用して、無理ない就農計画を立てましょう。

御浜町でのみかんづくりについて、詳しくはこちらをご覧ください↓

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