充実した御浜町の支援制度
就農コラム
日本の農業が抱える問題の1つに、高齢化による就農者の不足があります。
この問題を解決するために、国や各地方自治体などによってさまざまな就農支援の取り組みが進められていますが、就農支援にはどういうものがあるのか、良く知らない、という方も少なくないでしょう。
本記事では、就農支援とはどういうものか、わかりやすく解説します。また、就農支援が充実している御浜町の事例を詳しく紹介します。
就農支援とは、その名の通り、農業に就く人を支援する制度のこと。
農業をするためには、農地の取得や農業用機械・施設の導入、作物を育てるための技術を身につけるなど、さまざまなものが必要です。
これらの環境を整えたり、情報を提供しているのが国や各地方自治体が提供する就農支援制度です。
この就農支援は
など多岐に渡ります。
1つずつ見ていきましょう。
農業就業相談は、農業をやりたいと思っているけれど、どうすれば農業を仕事にすることができるのかが分からない方向けに、各都道府県やJA・民間企業が開設しているもの。
相談員との面談や実際に農業を営む農家の方と話をすることで、就農に関して感じている疑問を解決したり、就農を検討している地域の情報を知ることができます。
「農業をはじめたい」と思う方におすすめなのが、農業研修・体験プログラムに参加すること。農業研修・体験プログラムには、農林水産省が支援する農業インターンシップや農業専門学校・農業大学校の短期研修プログラム、各自治体などが主催する短期・長期の農業体験等があります。
実際に体験してみることで、農業を本当にやりたいのかどうか、自分の気持ちに向き合うことができるので、農業に触れたことが無い、という方はぜひ体験してみるといいでしょう。
前述したとおり、農業を始めるには初期投資がかかります。その費用を自己資金で全てまかなうことができない、という人の後押しをするのが資金支援です。
就農を希望する人が利用できる資金支援には、就農準備資金や経営開始資金、経営発展支援事業や青年等就農資金があります。
『就農準備資金』は、自治体が認可している農業大学校や研修機関で研修を受ける際に、月12.5万円、年間最大150万円の資金を最長2年間交付してもらうことができる制度です。この就農準備資金を受ける条件として、就農予定時の年齢が49歳以下であること、1年以上研修を受けること(1年で1,200時間以上)、就農への強い意欲を持っていること、などがあります。
『経営開始資金』は、新規就農する人に対して、就農直後の経営を確立するために交付されるもの。その金額は、月額12.5万円相当、年間で最大150万円であり、最長3年間受けることができます。この経営開始資金を受ける条件は、独立・自営就農の際の年齢が原則49歳以下であること、市町村の「人・農地プラン」の中心となる経営体に位置づけられている、または、位置づけられることが見込まれることなどがあります。
『経営発展支援事業』は、新規就農する人が就農後に経営を発展させるために機械や施設の導入、果樹や茶の新植・改植等をする際に交付されます。その金額の上限は1,000万円となっています。ただし、経営開始資金も同時に受ける際、その上限は500万円となります。
『青年等就農資金』は、青年等就農計画の認定を受けた人を対象とする無利子融資のこと。機械や施設の整備、茶や果樹の新植・改植、家畜の購入費をはじめ、運転資金などに使用することができるもので、3,700万円(特任限度額1億円)を限度に借入ることができます。償還期限が17年以内で、5年以内は据え置き期間と設定されていることから、収入が不安定な新規就農者にとって、メリットの大きい資金といえます。
農業を始める際に欠かせないのが「農地」ですが、新たに農業を始めようとしている人が農地を借りたり購入する際には、
以上の条件を満たし、農業委員会の許可を得なくてはなりません。
この農地の取得に関して、農地法の許可を得ずに済む方法が「農地中間管理機構・農地集積バンクから農地を借り受ける」方法と「経営基盤法に基づく農用地利用集積計画によって権利を得る」方法です。
就農を予定していて農地を取得・または借りたいという方は都道府県や市町村農業委員会に相談してみるといいでしょう。
三重県御浜町は、温暖多雨な気候と水はけのよい土壌により、1年を通してざまざまな種類のみかんが育つ町です。
この御浜町でも、都市部への人口流出や農業の高齢化が進んでいるという問題を抱えています。
そのため、御浜町では新たにみかん作りを始めたい方を対象に、就農前から就農後にわたる手厚い就農支援を実施し、農業を通じた地域の活性化を目指しています。
御浜町では、就農を検討している人に対して、1泊2日または1週間の農業体験をする場が提供されています。この農業体験は先輩農家やサポートリーダー等のアドバイスを受けながら実施されるものであり、自分の農業スキルに合わせて進めることができます。
農業体験期間中は住宅を無料で利用することも可能です。また、移住決断後の住宅探しも御浜町役場がサポートしてくれます。
1~2年、しっかりと農業研修を受けてから独立就農する流れとなりますが、就農後も役場や農協、三重県農業改良普及センターや先輩農家によるサポートを引き続き受けることができるので、経営に関する不安をその都度解決できる仕組みがあります。
御浜町では、就農希望者に対して上記で紹介した支援に加えて、「新規就農者基盤強化事業補助金」と「農業資材補助」という独自の支援を行っています。
「新規就農者基盤強化事業補助金」とは、就農時の年齢が50歳以上54歳以下でサポートリーダーの元で1年間の研修を受けており、農業次世代人材投資資金を交付されたことがない人を対象としたもの。
農業に必要な機械や資材にかかる経費の2分の1以内、100万円を上限として交付を受けることができます。
また、「農業資材補助」とは、マルチシートや客土、穂木・苗木や防寒資材(サンテ)・獣害対策資材を購入する際に、その費用を助成してくれます。
いずれも品質の良いみかんを作るために必要なものであり、就農中いつでも利用できる支援となっています。
このほか、果樹共済や収入保険など、自然災害で収穫量が減少した場合などの補償が受けられる制度もあり、天候に収入が左右される心配を抱かずに農業に取り組むことができる環境が整っています。
農業の担い手が不足する今、農業体験や研修、就農に必要な資金調達の支援策など、農業に興味がある人の就農を後押しするさまざまな取り組みが実施されています。
御浜町は、一般的な就農支援に加えて、独自の手厚い支援策を就農前から就農後まで受けることができるので、安心して農業をはじめることができる町です。
(掲載情報:2023年3月31日時点)
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